こんにちは、あにめたまご広報担当Tです。「あにめたまご2018」若手育成講座Ⅰも、いよいよ3日目!今回も若手アニメーターたちが奮闘する様子をレポートしていきます。
若手育成講座Ⅰの最終日となるこの日は、りょーちも氏(アニメーター)を講師に迎えて「自分たちのストーリーでラフのアニメーションを作る」という野心的な講座が開かれました。
この講座は事前に宿題として出されていた「子どもの頃のとても痛かった思い出」を元にグループでひとつの作品を創るもので、技術的な確認をしながら、上映までの一連の各工程を体験します。
A~Fという6つのグループ(各グループ4名)に分かれた若手アニメーターたちは、それぞれの思い出を披露し合いアニメーションにするストーリーを決定していきます。
物語は4カットを基準として作られ、ひとり1カットを担当。1カットの長さはおよそ4秒、つまり1チーム16秒程度の作品が出来上がることになります。
この講座、ストーリーの決定と絵コンテ作り(&絵コンテ撮影)までで、午前の150分が終了!残す午後の150分で作画、撮影、そして発表までをこなさなければなりません!
果たして時間は足りるのでしょうか!?
昼食休憩を挟んで後半では、担当するカットの完成を目指して黙々と作業を進めていく若手アニメーターたち。初めは静かな立ち上がりでしたが、作業が進むにつれチームメイトと意見交換をしたり、講師を呼び止め助言を仰いだり、これまでの講義で学んだ「自ら動いてみる」などを積極的に試す姿等が見え始めます。 こうしてにわかに活気付いてきた会場。 撮影台から聞こえる「カシャ! カシャ!」という音の間隔が短くなるにつれ、緊張感も高まっていきます。 |
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| なんとか迎えた試写会では、それぞれの力作が上映され、そのオチに笑いも起きました。自分たちが作ったアニメーションが実際に上映され、ホットな反応が見られた参加者たちは誰もが楽しげです。手応えを感じたチーム、課題を見つけたチーム様々でしょう。楽しい経験ばかりではなく、撮影ミスのため動画がうまく繋がらず苦い経験をしたチームもありました。 |
りょーちも氏から「放送事故は絶対に避けないといけません。こういうミスは時間がないから起こります。だから、スケジュール厳守が必須です」と注意が飛ぶと、和やかだった空気が一気に引き締まりました。こうしてこの講座では、楽しい、そして厳しいアニメ制作の疑似体験と共に、仕事に対する責任感も学んだことでしょう。
そして最後の講座は、3日連続となる神志那弘志氏による「レイアウト講座その3」。
講座の始まりは、前日に教わった「10cmの立方体を何個も描く」訓練からスタートしました。
この日の主題は「消失点」。神志那氏は「一点の消失点で描くとリアリティがある絵にならない」「描くものすべてに消失点はあるし、それがすべてアイレベル上に発生する」「俯瞰図を作って、それぞれの配置を考えてみると間違えない」など、この2日間で学んだアイレベルやカメラ位置の講義の先にある「消失点」を解説。
こうして神志那氏が用意してきた設定を元にレイアウト作りの作業を開始します。
設定は二人の男子(5頭身)が教室で話しているところに扉を開けて先生(3頭身)が入ってくるシーン。2日間で教わった知識を総動員して、頭身の計算やパースをとっては消失点を決めていくのですが、この応用問題はなかなか手強いようです。それでも少しでも求められるレイアウトに近づけようと神志那講氏をはじめ、机を廻るサポート講師陣を呼び止め疑問点をぶつけていく姿は、初日に比べて積極性が出てきたように感じられました。
「この3日間の短い時間で全部が理解できるとは思っていません。少しでも引っかかってくれればいいんです」と語る神志那氏は続けて、「デッサン力をつけるには対象の構造を理解しなければいけない。構造を知ると誤魔化さなくなるんです。例えば手のひらを広げた時になぜ指と指の間に隙間ができるか、考えてみてください。私は足を描くのが苦手でした。そこで足の構造を勉強しました。すると今まで誤魔化していた部分を理解したことで描けるようになった。そういうことなんです」と自らの経験を例に出して最後のアドバイスを送ります。
そんな貴重なアドバイスと共に、3日間にわたってレイアウト講座を開いてくれた神志那氏に改めて「ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えた若手アニメーターたち。
私は講座を聴講していただけですが、「こうやって、アニメーションの技術・精神は伝承されていくんだなぁ」と。若手アニメーターの皆さんに、実際の現場で、素晴らしいアニメーションを作ってほしい!と思いました。
こうして無事、若手育成講座Ⅰのカリキュラムは全て終了。若手育成講座Ⅱは9月上旬に予定されていますので、次はそちらのレポートでお会いしましょう!