「あにめたまご2020」若手育成講座 1回目開催
皆様、こんにちは!あにめたまご広報担当のKです。
平成31年度 文化庁委託事業 若手アニメーター等人材育成事業「あにめたまご2020」若手育成講座の第1回目を8月29日に実施しましたのでご報告いたします。
■講座1「原画=キーポーズとブレイクダウンについて」
さらに講座はサムネイルをたくさん描いて推測の訓練の場を持つこと、次の動きに移動する際に力を抜くポーズ「抜重」まで広げると、原画のあり方を示したキーポーズとブレイクダウンの講座は終了しました。
■講座2「シアターゲーム」
10分の休憩を挟んで行われたのが瑞木健太郎氏(演劇集団円)によるシアターゲーム。こちらは毎年恒例のレクリエーション的な講座であるとともに伝えることを体感する時間で、どうやったら相手に物事が伝わるかを体を使って感じるプログラムとなっています。人に伝わる絵を描くのはアニメーターとして大切なスキル。しかし何かを伝える、つまり何かを発信するのであれば、きちんとした情報を受信できなくてはなりません。そこでこのシアターゲームではゲームを通じて発信力や受信力を体感していこうというカリキュラムになっているのです。
瑞木さんはまず参加者の前に立ち、自らが取るポーズを真似てもらうというゲームから始めます。両手を肩に、胸に、頭に、真横にとポーズをとる瑞木さん。そしてそのポーズを難なく真似る若手アニメーターたち。この時はまだ真似ることについて侮っていたことでしょう。
さらに講座は全員で輪になり隣に拍手で音を送っていく音送りゲーム、二人一組になって相手のことを観察し覚えたことを細かく伝えていくゲーム、輪になったメンバーがワンワードずつ発信して物語を作っていくゲームなどを実践。いずれのゲームも何かを受け取り、何かを伝えることを実体験していきます。
この日が初対面だった参加者の間に交流が生まれていたのも、きっと相手の何かを受け取り、相手に何かを伝えていたからに違いありません。そんな交流を見ても、若手アニメーターたちにとって有意義な時間だったのではないでしょうか。
■講座3「レイアウト講座2」
昼食休憩を挟んで開催されたのが神志那弘志氏(株式会社スタジオ・ライブ 代表取締役/アニメーション監督)によるレイアウト講座です。こちらでは「演出が求めるレイアウトを描く」をテーマに4時間30分の長丁場の講座となりましたが、若手アニメーターたちにとっては明日から使えるテクニックを学ぶことができる有意義な時間ということもあり、真剣に取り組む姿が最後まで崩れることはありませんでした。
エレベーターの監視カメラは魚眼レンズとなっていて、直線でパース線を引くことができません。さらにこの魚眼レンズだけでなく、人間の目も球体になっているため視覚の端は歪んでいるという神志那氏。エレベーターに続いて、教室の右部分にカメラを設置してあるという設定で、教室の左部分に机を並べていくという課題を出題します。これは先ほどの監視カメラの課題と同様に、パース線を補正していく訓練になっていました。
続いては実際に絵コンテを作成しながらカメラ位置を学ぶカリキュラム。同じ主人公が同じ大きさで描かれていても、カメラ位置によって伝わる背景情報量が違うという、いわゆる望遠と広角での画角の違いについての話題となります。ちなみにカメラが近づけば近づくほど背景の情報量は増えていき(広角レンズ)、遠くなればなるほど情報が少なくなる(望遠レンズ)のだそうです。
逆に、それを頭に入れておけば正しい絵コンテが描けるのだから、参加者たちの目も真剣になります。鉛筆を手に作業に没頭する参加者たち。時には教室を巡回する講師陣を捕まえてアドバイスを仰ぐ姿も! 講座を通じて成長するんだという意気込みが感じられます。
最後に神志那氏から「アニメーターとはどんな角度からでも絵が描けるプロフェッショナル。それに絵を動かす力を持っている人でもあります。もし(絵の練習として)何かを模写するならば、違う角度からも描けるようになっていてください」と参加者にエールを送って講座は終了となりました。 こうして「あにめたまご2020」若手育成講座1回目開催は無事終了。 次回は9月に2日間実施した内容もレポートいたしますので、よろしくお願いします!
平成31年度 文化庁委託事業 若手アニメーター等人材育成事業「あにめたまご2020」若手育成講座の第1回目を8月29日に実施しましたのでご報告いたします。
講座はプロジェクト運営委員長の河口佳高氏からの講座全体の説明からスタートします。「今回の若手育成講座では自分の考えをしっかりと持って作業に取り組んでください。それが間違っていてもいい。その間違いに気づくことがこの事業の目的です」と若手アニメーターたちの積極性を促すと、さらに「自分とは違う意見にも触れて欲しい」とそれぞれの交流やそこから受ける刺激などの大きさにも触れて説明は終了。引き続き竹内孝次氏が登壇し、キーポーズとブレイクダウンの講座が始まりました。 |
■講座1「原画=キーポーズとブレイクダウンについて」
竹内孝次氏(プロデューサー/プロダクション・コーディネーター/東京アニメアワードフェスティバル フェスティバル・ディレクター)はまず「座っている少年と立っている少年」が両端に描かれている用紙を配り、若手アニメーターたちに「立ち上がる途中のポーズ」を描かせます。プロジェクト最初の講座ということもありやや緊張気味の若手アニメーターたちではありましたが、中には実際に椅子から立ち上がってポーズを確認する参加者の姿も見られ課題に対して積極的にトライしていく姿も見られました。 |
描かれたポーズは壁に貼りだされ、参加者全員で確認。早くも講座冒頭で河口氏の言っていた「自分とは違う意見に触れる」を体験することになりました。さらにそれぞれが描いたポーズが正しいのか間違っているのか、実際に椅子から立ち上がる姿を目の前で実演させて確認させると、竹内氏は「(この課題では)重心の移動を意識してもらいたかった」と説明。この重心への意識が大事だということで、まずはこの前提があっての本題「キーポーズとブレイクダウン」に移っていきます。 |
重心が安定していて、何をしているのかが比較的分かるポーズがキーポーズ、キーポーズとキーポーズを繋ぐのに必要なポーズがブレイクダウン。キーポーズは原画で言えば、重心移動の始まりと終わりのポーズであり、安定したバランスのポーズ。そしてブレイクダウンは動きのニュアンスを決めるポーズであり、演技の性格付けを決めるポーズになります。竹内氏はこのキーポーズとブレイクダウンにタイミングを加えたものが原画であると説明。そのキーポーズは重心が安定しているから印象に残りやすい、重心が安定している姿を見つけることがキーポーズを見つける手がかりになるとアドバイスを送ると、熱心にメモをとる姿も見られました。 |
さらに講座はサムネイルをたくさん描いて推測の訓練の場を持つこと、次の動きに移動する際に力を抜くポーズ「抜重」まで広げると、原画のあり方を示したキーポーズとブレイクダウンの講座は終了しました。
■講座2「シアターゲーム」
10分の休憩を挟んで行われたのが瑞木健太郎氏(演劇集団円)によるシアターゲーム。こちらは毎年恒例のレクリエーション的な講座であるとともに伝えることを体感する時間で、どうやったら相手に物事が伝わるかを体を使って感じるプログラムとなっています。人に伝わる絵を描くのはアニメーターとして大切なスキル。しかし何かを伝える、つまり何かを発信するのであれば、きちんとした情報を受信できなくてはなりません。そこでこのシアターゲームではゲームを通じて発信力や受信力を体感していこうというカリキュラムになっているのです。
瑞木さんはまず参加者の前に立ち、自らが取るポーズを真似てもらうというゲームから始めます。両手を肩に、胸に、頭に、真横にとポーズをとる瑞木さん。そしてそのポーズを難なく真似る若手アニメーターたち。この時はまだ真似ることについて侮っていたことでしょう。
しかしやがてひとつ前のポーズを真似る、ふたつ前のポーズを真似る、3つ前の……と、難易度が上がっていくにつれて戸惑う人が続出。これに瑞木さんは「間違って当然なので、間違うことは全く悪くないんです。ただ何かを発信すること、受信することを感じて欲しいんです」と笑います。これにつられて参加者たちからも笑い声が漏れていましたが、この笑い声は瑞木さんの気持ちを、参加者たちの心が受信して漏れ出た笑いだったのではないでしょうか? |
さらに講座は全員で輪になり隣に拍手で音を送っていく音送りゲーム、二人一組になって相手のことを観察し覚えたことを細かく伝えていくゲーム、輪になったメンバーがワンワードずつ発信して物語を作っていくゲームなどを実践。いずれのゲームも何かを受け取り、何かを伝えることを実体験していきます。
この日が初対面だった参加者の間に交流が生まれていたのも、きっと相手の何かを受け取り、相手に何かを伝えていたからに違いありません。そんな交流を見ても、若手アニメーターたちにとって有意義な時間だったのではないでしょうか。
■講座3「レイアウト講座2」
昼食休憩を挟んで開催されたのが神志那弘志氏(株式会社スタジオ・ライブ 代表取締役/アニメーション監督)によるレイアウト講座です。こちらでは「演出が求めるレイアウトを描く」をテーマに4時間30分の長丁場の講座となりましたが、若手アニメーターたちにとっては明日から使えるテクニックを学ぶことができる有意義な時間ということもあり、真剣に取り組む姿が最後まで崩れることはありませんでした。
講座は「絵コンテを切る時はカメラをどこに置くのかを考える」というカメラ位置の重要性を学ぶところからスタート。部屋全体が見渡せるインテリアモデルのイラストを例に「この絵は壁をぶち抜いたところにカメラ位置を設定しています。インテリアモデルのイラストとしてはアリですが、アニメーションとしてはありえないカメラ位置です」と、具体例を挙げながらカメラ位置の大切さを説明すると、続いてはエレベーターの監視カメラ画像を用意してそこにパースを引く訓練へと移行していきます。 |
ここで神志那氏をはじめとする講師陣は各テーブルを回り「パースラインを引くには自分の頭の中に空間を作り上げ、立体的にとらえる力が必要」などと丁寧にアドバイスを送りますが、飲み込みの早い若手アニメーターはコツをつかんだかのように筆が進んでいました。 |
エレベーターの監視カメラは魚眼レンズとなっていて、直線でパース線を引くことができません。さらにこの魚眼レンズだけでなく、人間の目も球体になっているため視覚の端は歪んでいるという神志那氏。エレベーターに続いて、教室の右部分にカメラを設置してあるという設定で、教室の左部分に机を並べていくという課題を出題します。これは先ほどの監視カメラの課題と同様に、パース線を補正していく訓練になっていました。
続いては実際に絵コンテを作成しながらカメラ位置を学ぶカリキュラム。同じ主人公が同じ大きさで描かれていても、カメラ位置によって伝わる背景情報量が違うという、いわゆる望遠と広角での画角の違いについての話題となります。ちなみにカメラが近づけば近づくほど背景の情報量は増えていき(広角レンズ)、遠くなればなるほど情報が少なくなる(望遠レンズ)のだそうです。
美術設定を手に絵コンテを描く参加者たちは、カメラ位置の違い、見え方の変化を実感しているようで作業に熱中。休憩時間になっても机から離れようとはしません。メインキャラクター、背景人物とのバランス、アイレベルの設定、何かを目印にしてパース線を引く……など、今までは漠然と描いていた人物なり背景は、実はこれだけの情報をしっかりと理解しておかねば正しく描けないのだと気付いたことでしょう。 |
逆に、それを頭に入れておけば正しい絵コンテが描けるのだから、参加者たちの目も真剣になります。鉛筆を手に作業に没頭する参加者たち。時には教室を巡回する講師陣を捕まえてアドバイスを仰ぐ姿も! 講座を通じて成長するんだという意気込みが感じられます。
最後に神志那氏から「アニメーターとはどんな角度からでも絵が描けるプロフェッショナル。それに絵を動かす力を持っている人でもあります。もし(絵の練習として)何かを模写するならば、違う角度からも描けるようになっていてください」と参加者にエールを送って講座は終了となりました。 こうして「あにめたまご2020」若手育成講座1回目開催は無事終了。 次回は9月に2日間実施した内容もレポートいたしますので、よろしくお願いします!