続けて、「13のトレーニング」の講評が人材育成委員からありました。これまでの課題を通じて若手アニメーターの大半が、成長の実感、手応えを感じているようでした。提出された絵を見ても「この課題は何を要求しているのか?」を考えて描かれた絵が多くなったような気がします。しかし、技術的にはまだまだ及第点とはいかず「我々に求められているのは商業アニメーターとしての絵です。お客さんが理解できるような絵を描かなければいけません。 | |
学校の美術とは違う商品としての絵を描くための訓練、それがこの課題ということを忘れないでください」と厳しい言葉も飛んでいました。特にパースは自分のものにしている参加者が少ないとのことで、前回の講座にあった「広角と望遠の違い」の突発的再講義も設けられたほど。正確な絵を描くことの大切さと難しさを、この時間で改めて知ってもらえたことでしょう。 |
<デジタル作画のメリット> ・遠方とのスピーディで安価な素材のやり取りが可能 ・素材が破損した場合の復旧が紙と比べて容易 ・輸送コストの軽減 ・紙からデジタルデータへの変換工程が不要になる <デジタル作画のデメリット> ・機材が高価 ・ある程度のデジタル知識が必要 ・習熟に紙と鉛筆より時間がかかる ・現物として把握しにくい | |
さらに本多氏は「会社が欲しいアニメーターはただ絵が上手いだけではなく、コンテの要求を満たしたレイアウトと芝居が描ける、手が早い、設定をちゃんと見て自分の癖で描かない、クオリティーを担保した上でスケジュールを守る、集団作業が出来る、仕事や社内の注意事項などのルールを守る、デジタル知識をある程度持っている人」と語っていました。 |
後半は身近な事例を採り挙げ、「このようなケースは著作権侵害となりうるのか」などと受講者に問いかける、ケーススタディー方式で行われました。指名された若手アニメーターたちは、自分の考えを述べ活発なやり取りが見受けられました。 | |
最後に笹平氏は「皆さんには自分の著作物を大切にするとともに、他者の著作物をも大切にし、そしてアニメ業界の根幹を支えるアニメーターとしての矜持を持って恥ずべき行為はしないでほしい。」との言葉を残してくれました。これにより若手アニメーターたちは著作権リテラシーというものを学ぶとともに、他者の権利をしっかりと認めリスペクトする気持ちの大切さを改めて心に刻み込んだことでしょう。 |
今川氏は「Love70」というワードを挙げ「美人を撮るなら70mm以上のレンズを使おう!」と具体例を交えつつ人物の見え方を紹介。レンズのサイズでモデルや車の見え方が違ってくるのを目の当たりにした参加者は、一目でレンズの大切さがわかったことでしょう。 | |
続けてモデリングに関しての問題提起や、3DCGの誤解、3次元+時間=4次元の解釈への疑問など、やや専門的な話が進みます。3Dアニメーターたちは目を輝かせて話に聞き入っていましたが「もしかすると2Dアニメーターたちにとってはチンプンカンプンな話だったのでは?」と、不安も抱きました。しかし、そんな心配は杞憂でした。質問時間で真っ先に手を挙げたのは2Dアニメーター。「今日の講義を聞いて、3Dに興味が湧いてきたのですが、何から始めるのがいいか教えてください」と前向きな質問に、新たな才能がすくすくと育っていることを実感しました。第一回目の講座では見られなかった積極性が、今回の講座には確かに存在していました。 |