「あにめたまご2019」オリエンテーション開催
2018.12.19



皆様、こんにちは! あにめたまご広報担当のTです。平成30年度 文化庁委託事業 若手アニメーター等人材育成事業「あにめたまご2019」が始動となりました。昨年と同様、今年もその活動をレポートしていきますので、どうぞ宜しくお願いします!

公開が遅くなりましたが、オリエンテーションのレポートです。
今回の「あにめたまご2019」に選定された制作団体は

株式会社WIT STUDIO
株式会社ケイカ・株式会社グリオグルーヴ(※2社で1団体として応募)
株式会社Flying Ship Studio
日本アニメーション株式会社

その4団体に向けたプロジェクトの概要説明、オリエンテーションが7月11日に開催されました。このオリエンテーションは4団体の育成側(監督、プロデューサー等)と、人材育成の対象である若手アニメーター、また、運営側(各委員・事務局)と主催である文化庁が参加し、プロジェクトのポリシーやスケジュールなどを説明し、この事業に関わる全員の認識を統一することを目的としています。

あにめたまご2019プロジェクトリーダーを務める石川光久氏(プロダクション・アイジー代表取締役社長)から「アニメーションはひとりの力では作れません。チームワークで作るものです。若手の皆さんはこのチャンスを楽しんで、苦しまず、アニメ作りを好きになってほしい。完成を楽しみにしております」との激励の言葉が送られました。以降は、あにめたまご2019チーフ松本悟氏(あにめたまご事務局)、瀬谷新二あにめたまご2019プロジェクト運営委員会運営委員長(株式会社手塚プロダクション 制作局 作画部 作画監督)、竹内孝次あにめたまご2019プロジェクト運営委員会副委員長(アニメーションプロデューサー)の司会で進んでいき、オリエンテーションの目的である以下の3つの柱が提示されました。
  • A)「あにめたまご2019」で各社が実施すべき内容、義務をきちんと理解してもらう
  • B)「あにめたまご2019」で各社が実施すべき育成方法を理解してもらう
  • C)各社内での育成スタッフ(運営側との共通認識も含めて)と若手アニメーターの認識をひとつにする
要約すると「あにめたまご」は文化庁から委託された若手アニメーター育成のための公共事業であるということを忘れず、ただアニメーションを制作するのではなく若手の育成を念頭に置いてアニメーション制作を進めてほしいといったところ。「あにめたまご」が目指す若手育成とは“演技を創れるアニメーターになってもらう”ことを指します。繰り返しになりますがこのオリエンテーションは事業に関わる全員の認識を統一し、齟齬を生まないために開催されたもの。中でも今回はOJTOFF-JT(OFF The Job Training)の徹底を促す説明に多くの時間が割かれたので、その一部を以下にまとめておきましょう。



■若手育成講座の実施

若手育成講座とはアニメーション制作の傍らで行われるOFF-JTの一環で「表現する」「絵で伝える」「見た人に楽しんでもらう」というアニメーターに必須なスキルだけでなく、社会人としての常識や業界の仕組みや展望を学ぶ講座のことで、今後5回の開催を予定。こちらの様子もレポートしていきますのでお楽しみに!

■「今だからこそやるべき13のトレーニング」

若手アニメーターたちに定期的に課題を与えて一枚絵を提出させるOFF-JTの一環。ただ与えられたシチュエーションで絵を描くのではなく、課題が何を求めているのかを汲みとる想像力の開発も隠された狙いとなっています。またこの「今だからこそやるべき13のトレーニング」は個人の進歩を促すものであり、絵の上手さを評価するものではないことを追記しておきます。

「今だからこそやるべき13のトレーニング」課題例
 第1回 食事の風景
 第3回 電車の中
 第7回 夕方の商店街

■チェックを通じてのコミュニケーション機会の創出

じつは現在のアニメーション制作の現場では、若手と中堅以上のアニメーターが密にコミュニケーションを取るチャンスはそれほど多くありません。ですが先述の「今だからこそやるべき13のトレーニング」には若手と育成側の会話の機会を創出するという一面も存在します。提出された課題はプロジェクトメンバー全員で見て講評します。この講評会はベテラン・中堅・若手アニメーターらのコミュニケーションの場であり、描いた人は絵に込めた意図を説明し、中堅等はそれが他者に十分に伝わったかを講評します。こうしたやり取りを通じた交流と教える側の育成も「今だからこそやるべき13のトレーニング」の狙いのひとつです。

他にも制作の全てを国内で行うことや3DCGは手付けでアニメーションをつけること、さらにアフレコを全編色付きで行うことを義務としていることなど、様々な説明が行われた今回のオリエンテーション。参加者を交えた活発な議論から察するに、今年も熱のこもった4作品が誕生しそうな予感がします! 

それでは次回は「若手育成講座 第1回目」レポートでまたお会いしましょう!